早期スキンケアだけではアレルギーマーチを抑制できるとは限らない

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  • Skin care alone in early infancy may not necessarily prevent the allergic march

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抄録

近年、乳児期早期のスキンケアによる介入で経皮感作を予防することが、食物アレルギーを含めた様々なアレルギー疾患の予防につながり、アレルギーマーチを抑制することが期待されている。そこで、当教室で行っている出生コホート研究における様々なアレルゲン感作に関わる要因の検討から、早期スキンケアが本当にアレルギーマーチを予防しうるのかについて論じてみたい。1歳時の卵白感作の検討では、乳児期早期の顔面の湿疹以外に、母乳栄養・顔面のブドウ球菌の保菌・母のアレルギー歴などの他の要因も関連していた。したがって、乳児期早期までの顔面の湿疹を抑制できるような適切な早期スキンケアであれば、卵白感作を予防しうる可能性がある。一方、1歳時のダニ感作と乳児期早期の顔面の湿疹の関連を検討したところ、ダニ抗原量が多い環境の児では湿疹と1歳のダニ感作は関連しないが、ダニ抗原量が少ない環境の児では有意に関連していた。すなわち、ダニ抗原量が少ない環境では、早期スキンケアがダニ感作の予防になる可能性があるが、ダニ抗原量が多い環境では環境整備を優先しないと、そもそもダニ感作は予防できない可能性が考えられた。以上のように、乳幼児期のアレルゲン感作に対する早期スキンケアの効果の検討には、アレルゲンの種類・湿疹やアトピー性皮膚炎の場所・栄養法・環境中のアレルゲン量・皮膚以外の感作経路など様々な要因を合わせて考えていく必要がある。(皮膚の科学,増23: 23-24, 2015)

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 14 (Suppl.23), S23-24, 2015

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

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