長期間再発を繰り返し癌化した喉頭上皮過形成症例

  • 後藤 理恵子
    三豊総合病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 香川大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頚部外科
  • 印藤 加奈子
    香川大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頚部外科
  • 森 照茂
    香川大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頚部外科
  • 星川 広史
    香川大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頚部外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Laryngeal Epithelial Hyperplasia that Reoccurred Repeatedly and Cancerated over the Long Term
  • チョウキカン サイハツ オ クリカエシ ガンカ シタ コウトウ ジョウヒ カケイセイ ショウレイ

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抄録

喉頭上皮過形成症は,病理組織学的に細胞異型を伴わない過形成からさまざまな程度の細胞異型を伴うものが含まれ,前癌病変ともされている。中には再発を繰り返す症例や治療が困難な難治症例も存在し,対応に苦慮することがある。今回,複数回の切除術を行うも再発を繰り返し,経過中に悪性化し喉頭摘出するに至った症例を経験したので報告する。症例は77歳男性,声帯白色病変の増悪を認め喉頭微細手術を施行した。病変は両側声帯および披裂間部にかけて存在し,可能な範囲で切除したが再発を繰り返し,6年間に計5回手術を施行した。いずれも病理結果は異形成および高度過角化であった。最終手術から1年2カ月後に両側声帯麻痺が認められたためCTを撮影したところ,喉頭後方を中心とした骨破壊を伴う陰影を認め,PET-CTでも悪性が強く疑われ喉頭摘出術を施行した。病理結果は扁平上皮癌であった。現在再発なく経過している。喉頭上皮過形成症では,細胞異型の程度によらず喉頭癌に準じた長期の経過観察が必要である。また,病変が粘膜下に浸潤増殖した場合には診断が遅れることがあり注意を要する。

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参考文献 (1)*注記

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