大学生における肩こりの心理・身体的特性について

  • 松浦 悠人
    東京有明医療大学大学院保健医療学研究科保健医療学専攻鍼灸学分野
  • 藤本 英樹
    東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科
  • 古賀 義久
    東京有明医療大学大学院保健医療学研究科保健医療学専攻鍼灸学分野 東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科
  • 安野 富美子
    東京有明医療大学大学院保健医療学研究科保健医療学専攻鍼灸学分野 東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科
  • 坂井 友実
    東京有明医療大学大学院保健医療学研究科保健医療学専攻鍼灸学分野 東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科

書誌事項

タイトル別名
  • Psychological and Physical Characteristics of Neck Pain in University Students
  • 大学生における肩こりの心理・身体的特性について : 自覚的ストレス,STAI,SF-36,唾液コルチゾールによる検討
  • ダイガクセイ ニ オケル カタコリ ノ シンリ ・ シンタイテキ トクセイ ニ ツイテ : ジカクテキ ストレス,STAI,SF-36,ダエキ コルチゾール ニ ヨル ケントウ
  • —自覚的ストレス,STAI,SF-36,唾液コルチゾールによる検討—
  • —Using Perceived Stress, STAI, SF-36, and Salivary Cortisol Levels—

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抄録

目的:肩こりは国民の多くが経験する症状であるが,肩こりに関する研究は非常に遅れているのが現状である.そこで本研究では,肩こりの特性を明らかにするため,肩こりを有する者と有しない者の比較検討を行った.<BR>方法:対象は自覚的な肩こりの有無により,肩こりを有する成人男性13名(NP群,平均年齢20.2±0.7歳)と肩こりを有しない成人男性10名(CON群,平均年齢21.2±1.5歳)とした.肩こりの評価にはVisual Analogue Scale(VAS),圧痛・硬結所見を用い,ストレスの評価には自覚的ストレスのVAS,State-Trait Anxiety Inventory(STAI),MOS 36-Item Short-Form Health Survey(SF-36),唾液コルチゾールを用いた.唾液コルチゾール濃度は,酵素免疫測定法(ELISA法)により求めた.また,唾液の採取時間は,午前9時から10時以内の採取とした.<BR>結果:NP群の肩こり感全体のVASは56.9±17.3mmであった.圧痛・硬結所見では,硬結所見に有意差は認められなかったが,左右僧帽筋上部線維,右頭板状筋の圧痛がNP群で有意に高かった(P<0.05).自覚的ストレスのVASではNP群59.1±23.7mm,CON群10.8±17.6mmで有意差が認められた(P<0.05).STAIでは,特性不安ではNP群52.7±9.1点,CON群44.6±9.9点で有意差は認められなかったが,状態不安においてNP群42.2±6.6点,CON群35.9±9.1点で有意差が認められた(P<0.05).SF-36では,下位尺度8項目のうち,身体機能,日常役割機能(身体),体の痛み,全体的健康感,活力,心の健康に有意差が認められた(P<0.05).唾液コルチゾール濃度はNP群16.3±8.2nmol/L,CON群14.8±4.5nmol/Lで有意差は認められなかった.<BR>考察・結語:肩こりの心理・身体的な特性について検討した結果,唾液コルチゾール濃度では有意差は認められなかったが,肩こりを有する者は,自覚ストレス度や不安度が高く,精神的・身体的な健康度が低いことが示された.このことから,肩こりに身体的要因のみならず,心理社会的要因が関与している可能性が示唆された.

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