太陽光・風力発電の大量導入時の次世代電力システムの構築に向けて

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タイトル別名
  • Future Electric Power System Using PV and Wind Power
  • 太陽光・風力発電の大量導入時の次世代電力システムの構築に向けて : 2つの系統安定化策がもたらす効果の産業連関分析
  • タイヨウコウ ・ フウリョク ハツデン ノ タイリョウ ドウニュウジ ノ ジセダイ デンリョク システム ノ コウチク ニ ムケテ : 2ツ ノ ケイトウ アンテイカサク ガ モタラス コウカ ノ サンギョウ レンカン ブンセキ
  • -2つの系統安定化策がもたらす効果の産業連関分析-
  • An Input-output Study of Investment in Power System Stabilization

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抄録

再生可能エネルギー電源の導入とその効率的利用を可能にするための工夫が,以前に増して必要とされるようになってきている。電力は絶えず消費との同時同量性が保たれるように生産が制御されなければならない。しかし,9つに細分化された日本の電力系統は,変動したり,小規模分散的であったりする再生可能エネルギー電源が大量導入された場合には,そうした制御に対応しきれないことが以前から予測されていた。その問題を解決するために,スマートグリッドを利用した新たな電力システムを構築することが電気工学分野の大きな研究課題となっている。<br>本研究では,再生可能エネルギーの大量導入に伴う電力マネジメントシステムの改変に関する2つの先行文献に基づいて,各選択肢がシステムの構築時および運転時にそれぞれどのような生産誘発,雇用誘発,エネルギー誘発,及びCO2誘発効果をもたらすのかを,拡張された産業連関分析の手法を用いて定量的に試算した。一つ目の資源エネルギー庁報告書(2010)は,太陽光発電の大量導入に対して,蓄電池の大量導入で対応するか,出力抑制で対応するかを検討していた。また二つ目の山本・坂東・杉山による電力中央研究所報告書(2013)は,太陽光の他に風力発電も大量導入することに対して,火力発電の非効率運転と出力抑制で対応することを考察していた。産業連関分析に基づく考察結果によれば,再生可能エネルギーのバラエティを増やすと同時に,同時同量性の制約に対して蓄電池という単一の方法で対応するよりもシステム全体で対応するという後者の考え方に,優位性があると判断された。またどちらの文献に基づく試算においても,電力システムの同時同量性の制約を緩和するようにスマートグリッドを構築することの有用性が確認された。

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 28 (4), 291-303, 2015

    社団法人 環境科学会

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