非妊娠性卵巣絨毛癌の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Nongestational ovarian choriocarcinoma : a case report
  • 症例報告 非妊娠性卵巣絨毛癌の1例
  • ショウレイ ホウコク ヒニンシンセイ ランソウジュウモウガン ノ 1レイ

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抄録

非妊娠性卵巣絨毛癌は,悪性胚細胞腫瘍のなかでも非常にまれな疾患であり,その多くは他の悪性胚細胞腫瘍と合併する混合型である.今回われわれは,他の悪性胚細胞腫瘍を認めない非妊娠性卵巣絨毛癌の1例を経験したので報告する.症例は17歳,性交経験はない.2カ月間持続する不正性器出血を主訴に当院を受診した.MR検査では左付属器に一部充実性部分を有する140×90mmの多房性嚢胞性腫瘍を,右付属器にも径30mmの嚢胞性腫瘍を認めた.両側卵巣成熟嚢胞性奇形腫を疑い,腹腔鏡下手術を開始したが,悪性腫瘍が疑われたため,開腹術に変更した.左付属器摘出術に加え,右卵巣腫瘍摘出術とダグラス窩に認めた腫瘍の摘出術を行った.病理組織検査結果は,成熟嚢胞性奇形腫を合併した非妊娠性絨毛癌であった.ダグラス窩腫瘤は絨毛癌の転移であった.術後検査で,血中hCG値は1211 mIU/mlと高値で,CT検査にて多発性肺転移を認めた.最終的に,非妊娠性卵巣絨毛癌の臨床進行期IV期と診断した.術後全身化学療法として,MEA療法を5サイクル施行し寛解が得られたかにみえたが,術後1年以内に子宮の再発病変と多発肺転移巣がみられた.BEP療法を4サイクル試みたが効果なく,子宮全摘術および胸腔鏡下肺部分切除を行った.その後,複数の化学療法を施行したが,肺転移巣の増大に伴い呼吸状態が悪化し初回手術より3年5カ月で死亡の転帰をとった.〔産婦の進歩68(2):118-125,2016(平成28年5月)〕

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