骨髄系腫瘍とリンパ系腫瘍における<i>TET2</i>変異の意義

書誌事項

タイトル別名
  • Significance of <i>TET2</i> mutations in myeloid and lymphoid neoplasms
  • 骨髄系腫瘍とリンパ系腫瘍におけるTET2変異の意義
  • コツズイケイ シュヨウ ト リンパケイ シュヨウ ニ オケル TET2 ヘンイ ノ イギ

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抄録

TET2遺伝子は,骨髄系腫瘍/リンパ系腫瘍の双方で,高頻度に機能欠失性の変異が生じているエピゲノム制御遺伝子である。一方,造血器腫瘍を発症していないコホートの一部にも,クローン性血液細胞が存在する。これらのクローンで見出される遺伝子変異の中で,TET2変異は2~3番目に頻度が高い。そして,クローン性血液細胞が検出される亜集団は,されない亜集団に比べ,造血器腫瘍発症のリスクが有意に高い。以上から,TET2変異だけでは造血器腫瘍を発症しない一方,この変異は骨髄系とリンパ系の共通の前駆細胞レベルで獲得され,いずれの腫瘍に対してもセカンドヒットを待つ状態(前白血病/前リンパ腫)を形成する役割を演じていると推察される。個別の造血器腫瘍では,TET2と特異的な遺伝子異常の組み合わせが見出されている。一方,これらの遺伝子異常の組み合わせをマウスに導入すると,個別のヒト造血器腫瘍が再現される。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 57 (6), 715-722, 2016

    一般社団法人 日本血液学会

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