意識障害を合併した膀胱憩室による膀胱小腸瘻の一例

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  • A case of vesicointestinal fistula implicated in bladder diverticulum associated with consciousness disturbance

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抄録

症例は92歳女性で,2014年5月夕方,嘔吐後,徐々に意識レベルが低下し,翌朝起床時に意識がなかったため,救急車にて当院に搬送された。意識レベルはJapan Coma Scale: III-300,Glasgow Coma Scale: E1,V1,M1で,血圧155/82,脈拍80/min,体温36.6℃,SpO2 99%であった。腹部は膨満していた。血液検査では軽度の炎症反応の上昇,BUN,NH3の高値を認めた。尿は褐色で沈殿物があり強い便臭を認め,尿培養検査で腸内細菌を認めた。脳波検査にて三相波様の波形を伴う全般徐波を認めた。腹部超音波検査(US)で膀胱壁の限局性肥厚と膀胱内に複数の線状・点状高エコーを認め,空気と考えられ,膀胱消化管瘻の存在を疑った。膀胱内に造影剤を注入しつつCTを行ったところ,膀胱腹側から小腸内腔へ造影剤の流出を認め,膀胱小腸瘻と診断された。膀胱小腸瘻は比較的稀な疾患であるが,高NH3血症をきたすことがあり,その補助診断としてUS検査は一助となる。

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 65 (3), 317-322, 2016

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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