3年間閉鎖しない,放射線肺臓炎の肺切除断端に生じた難治性術後肺瘻

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  • Case report of a refractory pulmonary fistula in the region of radiation pneumonitis for 3 years after surgery

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抄録

放射線肺臓炎を来たした肺を手術時にどのように扱うかを論じた報告は極めて少ない.症例は65歳男性.胸腺癌・正岡分類IV期の診断で化学放射線療法と脳転移に対してγナイフを施行した.原発巣縮小,脳転移は消失したため手術を施行した.胸腺と共に腫瘍を摘出,壁側胸膜と左肺上葉を部分合併切除した.その際放射線肺臓炎領域より気瘻を認め縫合閉鎖した.術後90日目に左胸水の減少あり左胸腔ドレーンを挿入した所,気瘻を認めた.術後120日目に手術施行,放射線肺臓炎領域に瘻孔を認め肋間筋にて被覆した.術後3年無再発生存中であるが,経過中2回,発熱・呼吸困難感と共に左胸水が減少するエピソードがあり未だに瘻孔は閉鎖していないと考えられる.放射線肺臓炎領域は血流の低下により創傷治癒機転と免疫が著しく低下していると考えられ,放射線肺臓炎領域からの肺瘻は入念な修復が必要であり,筋弁や心膜脂肪織での被覆が望ましいと考えた.

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