硬膜外麻酔併用全身麻酔下で肺区域切除後に発症した脊髄梗塞の1例

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  • Spinal cord infarction after segmentectomy under general-epidural anesthesia

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抄録

背景.脊髄梗塞の発症は稀であるが,硬膜外麻酔併用全身麻酔手術後に発症した報告が散見される.症例.70歳代,男性.右上葉の肺癌に対して硬膜外麻酔併用全身麻酔下で右S2区域切除を行った.術後第1病日から右下肢筋力低下,右半身の乳嘴から下肢までの知覚低下がみられ,持続硬膜外麻酔薬注入の中断後も継続した.Th6-8の不完全型Brown-Sequard症候群がみられ,MRIでTh6-8に脊髄梗塞を認めた.硬膜外カテーテルを抜去し,抗凝固療法,抗浮腫薬点滴,リハビリ治療を行うことで膀胱直腸障害は軽快し,下肢筋力は歩行可能にまで改善した.結論.脊髄梗塞は麻酔や手術に起因し得る病態であるため,高齢,動脈硬化,糖尿病,脂質異常症,喫煙,脳梗塞,冠動脈疾患,癌等の危険因子をもつ患者では注意が必要である.また硬膜外麻酔も発症の一因となる可能性があるため,その適応にも慎重になるべきと考えられる.

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