広葉樹の葉の通水能力は、解剖学的特徴と光応答性で決まる

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タイトル別名
  • Leaf hydraulic conductance is related strongly to leaf anatomical traits and the responsibility to light

抄録

葉は、植物体内を通る水の輸送速度を制限する組織であり、葉の通水能力の指標である葉身の通水抵抗(RL)は、植物体内全体のうちの約30%を占める。RLは、輸送経路である葉の解剖学的形態や細胞膜のアクアポリンの活性によって影響を受ける。しかし、被子植物の高木種の中では、RLを強く制限する形質はわかっていない。本研究では、日本の温帯域に生息する7種の落葉広葉樹と5種の常緑広葉樹の陽葉で、RLを測定した。RLは、維管束鞘や維管束鞘延長部の細胞の細胞壁においてリグニンの沈着がある葉で有意に低くなった。さらに、リグニンの沈着の有無で分類したとき、暗所に置いた葉で測定されたRLは、葉脈占有面積率(葉面積に占める維管束と維管束鞘細胞の面積)と有意な相関関係を示した。高い葉脈占有面積率は、維管束から蒸散が起きる表皮までの経路が短いことを意味する。しかし、明所に置いて測定されたRLでは、こうした関係は有意ではなくなった。これは、明所では、形態の要素ともに、アクアポリンの活性が上がることで生理学的な要素がRLを制限する。このため、種間の明確な傾向が検出しにくくなることを意味するだろう。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205708026624
  • NII論文ID
    130005167041
  • DOI
    10.11519/jfsc.127.0_95
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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