マツ材線虫病の蔓延による猛禽類営巣木の枯死

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タイトル別名
  • Death of the birds of prey nest trees due to the spread of pine wilt disease

抄録

外来の病原性微生物が原産地から離れた地域に人為的に持ち込まれる生物学的侵入は,抵抗性を持たない在来生物を急速に減少させる。生物学的侵入により,在来種が優占する森林が広域的に枯死すると,そこを利用する生物の個体数も連鎖して減少する。北米原産のマツノザイセンチュウは,マツノマダラカミキリを媒介昆虫とすることで,抵抗性のない日本のマツ属樹種を100年以上にわたり、大量枯死させてきた。このマツ材線虫病の被害は,マツ属樹種が優占するマツ林の集団枯死,すなわちマツ枯れ、として注目されてきたが,猛禽類の営巣木とその周辺の営巣林の広域的な消失としても捉え直すことができる。マツ属樹種の樹形と生育環境は、猛禽類が営巣するのに適しているためである。そこで、マツ枯れ被害地域と未被害地域で、猛禽類の営巣数と営巣環境を調査した。その結果,マツ材線虫病は高次捕食者である猛禽類の営巣数やその群集構造を変化させていた。つまり、生態系を大きく変化させたことを示唆する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205705668736
  • NII論文ID
    130005167054
  • DOI
    10.11519/jfsc.127.0_154
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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