メガデルタ地域における高潮・河川洪水複合水害モデリング

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Modeling the impact of storm surge on fluvial flooding in a mega-delta region

抄録

アジアのメガデルタ地域は河川洪水や高潮といった複数の水害リスクに対し脆弱である。また今後の地球温暖化に伴い生じうる、河川洪水の激甚化や長期的な海水面上昇といった要因は、メガデルタ地域の水害リスクをさらに悪化させる危険がある。しかしながら、メガデルタを包含する大きなスケールを対象として、高潮と河川洪水の双方を数値モデルを用いて検証した例は見当たらない。 したがって本研究ではそのような大きいスケールに適用可能な枠組みにおいて、高潮と河川洪水の複合水害のシミュレーションを行い、アジアのガンジスデルタを対象として洪水リスク評価を行うことを目的とした。全球河川氾濫モデルCaMa-Floodに、河口水位境界条件として全球沿岸水位再解析データを用い、高潮が河川洪水へ与えるインパクトをモデル内で表現できるようモデルの改良を行った。 対象高潮事例として、2007年にガンジスデルタに来襲したサイクロンシドルに焦点を当て、このサイクロンによる高潮再現実験を行った結果、6 mを超える河口での水面上昇が上流に向かい伝搬していく様子が確認された。伝搬は河口から200 kmの地点においても1 m以上の浸水深の増加を伴い、広範囲に及ぶことが明らかになった。さらに21世紀末時点で予想されている1 m海面上昇を与えた場合や、高潮の来襲時期を雨季と乾季で変更した複数のシナリオにおいて、バングラデシュでの洪水被害人口の推定を行った。その結果、乾季に比べ雨季における高潮の影響が大きくなることや、海面上昇条件では高潮による洪水被害の増分がより大きなものになるということが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205711973632
  • NII論文ID
    130005175970
  • DOI
    10.11520/jshwr.29.0_106
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ