一自治体における複合プログラムによる介護予防事業(すみだテイクテン)の評価

  • 木村 美佳
    特定非営利活動法人国際生命科学研究機構健康推進協力センター
  • 守安 愛
    特定非営利活動法人国際生命科学研究機構健康推進協力センター
  • 熊谷 修
    人間総合科学大学人間科学部
  • 古名 丈人
    札幌医科大学保健医療学部

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of the comprehensive health program “Sumida TAKE10!” for community-dwelling older adults, which aims to prevent or delay the need for long-term nursing care
  • イチ ジチタイ ニ オケル フクゴウ プログラム ニ ヨル カイゴヨボウ ジギョウ(スミ ダ テイクテン)ノ ヒョウカ

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抄録

<p>目的 東京都墨田区では,2005年から一般高齢者を対象とした一次予防事業として,運動,栄養,口腔機能の複合プログラム「TAKE10!®」を活用した介護予防教室「すみだテイクテン」を開催している。本研究では,2008年以降の二つの事業対象者(一次予防と二次予防)が区別されることなく参加した事業の有用性を検証する。</p><p>方法 「すみだテイクテン」は,全体講演会と区内 4~6 会場で 2 週間に 1 回開催される全 5 回の複合プログラムを提供する講習会で構成されている。解析対象者は2008年から2013年に「すみだテイクテン」に参加登録をした者のうち,事業前後の自記式の質問紙がそろった402人とした。主要アウトカムは質問紙による調査から得られた食習慣(10食品群の摂取頻度,食品摂取の多様性得点(Dietary Variety Score: DVS),食品摂取頻度スコア(Food Frequency Score: FFS)),体操実施頻度と体力測定結果(5 m 通常歩行時間,5 m 最大歩行時間,握力,開眼片足立ち,Timed Up & Go)とした。副次アウトカムは,質問紙による調査から得られた生活機能(老研式活動能力指標),食欲,体操以外の運動実施頻度,主観的健康感,社会活動(外出,近隣者との会話,同年代のグループ活動,ボランティア活動の頻度)とし,これらのアウトカムについて事業前後の比較を行った。また,事業対象者別にも解析を行い,さらに,同一世帯内でのプログラムの共有の可能性を検討するため,通常調理を行うか否かで対象者を 2 群に分け,食習慣について解析を行った。</p><p>結果 対象者の事業前後のデータを比較すると,主要アウトカム,副次アウトカムともすべての項目で有意な改善が認められ,食習慣や運動習慣のみならず,生活機能や主観的健康感,社会活動にも改善が認められた。二次予防事業対象者においても,主要アウトカムについて一次予防対象者とほぼ同様な結果が得られ,通常調理を行わない対象者の食習慣についても有意な改善が認められた。</p><p>結論 これらの結果は,両事業対象者を区別せずに事業を行うことの有用性を示唆しており,さらには,TAKE10!®のような複合プログラムが地域の介護予防を目的としたポピュレーションアプローチとして活用価値のあることを示唆している。</p>

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被引用文献 (1)*注記

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