小脳腫瘍の陽子線治療後に後迷路性難聴と診断された一例

DOI
  • 坪田 雅仁
    帝京大学医学部附属溝口病院耳鼻咽喉科 富山大学耳鼻咽喉科頭頸部外科
  • 將積 日出夫
    富山大学耳鼻咽喉科頭頸部外科

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タイトル別名
  • A case report of retrolabyrinthine deafness after proton therapy for a cerebellar tumor

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抄録

 症例は 2 歳女児。1 歳時に小脳腫瘍に対し,化学療法と陽子線治療を施行された。陽子線治療終了後,半年で左聴力低下を訴え当科受診。COR や OAE で明らかな難聴が指摘されなかったが,ABR では左耳は無反応であった。出生後より難聴の既往がなかったことから陽子線治療の晩期障害と診断し,ステロイド治療を施行したが聴力改善は見られなかった。脳腫瘍に対する放射線治療は約 3 分の 1 の症例で感音難聴を来すという報告があり,治療後数年経過してから晩期障害として発症することもあるため注意が必要である。また,小児においては聴力評価が成人に比べて困難であることから,詳細な問診と ABR をはじめとする他覚的聴力検査を施行し正確な聴力の評価を行うことが重要であると考えられた。

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