脂質メタボロミクスを用いたタモキシフェンによる脂肪肝及びリン脂質症のメカニズム解析

DOI
  • 合田 圭佑
    日本たばこ産業(株) 医薬総合研究所 安全性研究所
  • 山田 直人
    日本たばこ産業(株) 医薬総合研究所 安全性研究所
  • 小林 章男
    日本たばこ産業(株) 医薬総合研究所 安全性研究所
  • 高橋 統一
    日本たばこ産業(株) 医薬総合研究所 安全性研究所
  • 松井 拓也
    日本たばこ産業(株) 医薬総合研究所 安全性研究所
  • 正田 俊之
    日本たばこ産業(株) 医薬総合研究所 安全性研究所
  • 公納 秀幸
    日本たばこ産業(株) 医薬総合研究所 安全性研究所
  • 菅井 象一郎
    日本たばこ産業(株) 医薬総合研究所 安全性研究所
  • 齊藤 公亮
    国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部
  • 前川 京子
    国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部
  • 齋藤 嘉朗
    国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部

書誌事項

タイトル別名
  • Liver lipid profiling of tamoxifen-induced steatosis and phospoholipidosis in rats

抄録

【緒言】非ステロイド性の抗エストロゲン薬であるタモキシフェンは,臨床において乳癌治療薬として広く用いられている。タモキシフェンは臨床及び非臨床試験で脂肪肝あるいはリン脂質症を引き起こすことが知られているが,これらの発生機序に関しては,一定の見解は得られていない。また,非臨床における脂肪肝は,臨床で肝障害として検出されるケースも散見され,薬剤性脂肪肝及びリン脂質症に関するメカニズム解析は,医薬品開発上,有用な知見となることが期待される。そこで我々は,タモキシフェンを投与したラットの肝臓を用いた脂質メタボロミクスを行い,メカニズム解析を行った。<br>【方法】雄性SDラット (投与開始時6週齢,10匹/群/解剖時点) に7,14あるいは28日間,タモキシフェン (10及び20/40 mg/kg (投与8日目以降40→20 mg/kgに減量)) を反復経口投与し,血液及び肝臓を採取した。肝臓中のリン脂質,スフィンゴ脂質及び中性脂質を超高性能液体クロマトグラフによって分離後,フーリエ変換型質量分析計を用いて測定した。タモキシフェン投与群及び媒体投与群間で多変量解析 (OPLS-DA)を行い,S-plotによってバイオマーカー候補を同定した。また,肝臓中の中性脂質及びリン脂質含量を別途測定した。<br>【結果】タモキシフェンの28日間投与により,肝臓中の中性脂質は低下していた。一方,リン脂質は増加傾向にあり,肝臓にリン脂質が蓄積していると考えられた。肝臓では,多くのフォスファチジルコリン (PC),フォスファチジルエタノールアミン及びフォスファチジルイノシトールは増加していたものの,脂肪酸鎖に多価不飽和脂肪酸 (PUFA) を持つPCが特異的に減少していた。以上の結果より,タモキシフェンによるリン脂質蓄積において,PUFAの生合成に関わる酵素が重要な役割を担っており,これらのPCがバイオマーカー候補であると考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680524603392
  • NII論文ID
    130005260781
  • DOI
    10.14869/toxpt.43.1.0_p-39
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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