女性外陰部の扁平苔癬に生じた有棘細胞癌の 1 例

  • 菅野 みゆき
    宮崎大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野
  • 成田 幸代
    宮崎大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野
  • 持田 耕介
    宮崎大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野
  • 天野 正宏
    宮崎大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Squamous Cell Carcinoma Arising within Lichen Planus of the Vulva
  • 症例 女性外陰部の扁平苔癬に生じた有棘細胞癌の1例
  • ショウレイ ジョセイ ガイインブ ノ ヘンペイ タイセン ニ ショウジタ ユウキョクサイボウガン ノ 1レイ

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抄録

51 歳,女性。初診 10 年前より外陰部の瘙痒があり,初診 2 年前よりびらんが生じた。初診時,両側小陰唇に境界明瞭な白色病変と不規則なびらんを呈し,生検にて扁平苔癬と診断した。各種外用剤にて加療するも難治であり,病変内に潰瘍を形成した。プレドニゾロン 5 mg 内服を行ったが両小陰唇の潰瘍は難治であり,初診から 3 年後に悪性化を疑い潰瘍部から生検を施行し,病理組織学的に有棘細胞癌と診断した。両側小陰唇潰瘍部分から 6 mm 以上のマージンを取り病変を切除した。病理組織学的に左小陰唇潰瘍部は有棘細胞癌の腫瘍胞巣が真皮中層まで浸潤していた。一部脈管侵襲を疑う所見を認めたが,両鼠径部のセンチネルリンパ節に転移は認めなかった。術後 1 年後の時点で局所再発や遠隔転移の徴候はない。外陰部扁平苔癬から生じた有棘細胞癌は口腔内扁平苔癬と比べ稀であり,皮膚原発の有棘細胞癌と比較して転移・再発率が高く予後不良である。悪性化の可能性を念頭に置くこと,扁平苔癬に対し適切な治療を行うことが有棘細胞癌発生の予防に重要であると考える。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 78 (3), 257-261, 2016

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (8)*注記

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