救急現場で脈拍数が比較的少なく,搬入後にさらに減少する意識消失症例は反射性失神を示唆する

  • 山口 陽子
    東日本旅客鉄道株式会社JR東京総合病院・救急部門
  • 田中 博之
    東日本旅客鉄道株式会社JR東京総合病院・救急部門 東京医科大学救急・災害医学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Patients who showed relatively smaller pulse rate in the field and more decreased following hospital arrival may be suggested syncope caused by vago-vagal reflex
  • キュウキュウ ゲンバ デ ミャクハクスウ ガ ヒカクテキ スクナク,ハンニュウ ゴ ニ サラニ ゲンショウ スル イシキ ショウシツ ショウレイ ワ ハンシャセイ シッシン オ シサ スル

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抄録

<p>目的:反射性失神をきたした症例は救急現場で脈拍数が比較的少なく,搬入後に脈拍数/心拍数がより減少することを検証する。方法:2011年4月1日からの2年間に救急車で当院へ搬送され,意識消失をきたした症例について救急現場の脈拍数を調査した。反射性失神について,現場と病院搬入時の脈拍数/心拍数と収縮期血圧を,心電図検査を行った症例はその心拍数も調査した。また,体位性低血圧と比較した。結果:意識消失症例では,原因によって現場の脈拍数が異なっていた。反射性失神例は体位性低血圧例と比べ,現場と搬入時の脈拍数/心拍数が有意に少なかった。反射性失神例の脈拍数は搬入時に現場より有意に減少していたが,体位性低血圧例も減少の程度は同等であった。結論:意識消失をきたした症例の脈拍数が現場で比較的少なく,搬入時もしくはその後にさらなる脈拍の減少を確認できれば,反射性失神である可能性を考慮すべきと思われる。しかし,反射性失神症例において搬入時あるいはその後,脈拍数/心拍数が再度低下する機序は不明である。この「搬入後に脈拍が減少したが,血圧は低下しなかった」という現象は,今回対象となった反射性失神の多くが心抑制型であった可能性を示唆している。</p>

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