自然水中における鉄の化学種と生物利用性-鉄と有機物の動態からみる森・川・海のつながり-

  • 夏池 真史
    東京工業大学環境・社会理工学院
  • 菊地 哲郎
    東京工業大学環境・社会理工学院 茨城県霞ケ浦環境科学センター
  • Lee Ying Ping
    東京工業大学環境・社会理工学院
  • 伊藤 紘晃
    熊本大学大学院自然科学研究科 山形大学農学部食料生命環境学科
  • 藤井 学
    東京工業大学環境・社会理工学院
  • 吉村 千洋
    東京工業大学環境・社会理工学院
  • 渡部 徹
    山形大学農学部食料生命環境学科

書誌事項

タイトル別名
  • Chemical Speciation and Bioavailability of Iron in Natural Waters - Linkage of Forest, River and Sea in View of Dynamics of Iron and Organic Matter
  • シゼン スイチュウ ニ オケル テツ ノ カガクシュ ト セイブツ リヨウセイ : テツ ト ユウキブツ ノ ドウタイ カラ ミル モリ ・ カワ ・ ウミ ノ ツナガリ

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抄録

食物連鎖の根底を担う藻類を含め生物にとって不可欠な微量元素である鉄は, 陸域から河川や地下水を経て下流に移行し, 沿岸域での基礎生産に貢献していると考えられている。本総説では, このような流域における鉄の生物地球化学動態について既往研究を整理した。鉄の化学的特性として, 中性pHでは無機第二鉄の溶解度はサブナノモーラーであること, 溶存有機物が鉄の溶解度を上昇させること, 種々の熱力学・光化学的反応が鉄の生物利用性と密接に関係することが明らかにされている。また, 微細藻類による鉄の生物利用性は鉄の化学種に強く依存するため, 陸域由来鉄が沿岸域の基礎生産に及ぼす影響を適切に評価するには, 鉄の化学種に着目して研究を進めていく必要がある。森・川・海のつながりにおける鉄と有機物の動態研究では, 陸での有機鉄の溶出から沿岸域生態系への移行までをカバーした総合的な研究が重要と考えられる。

収録刊行物

  • 水環境学会誌

    水環境学会誌 39 (6), 197-210, 2016

    公益社団法人 日本水環境学会

被引用文献 (12)*注記

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参考文献 (128)*注記

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