先天性胆道拡張症に対する胆管嚢腫消化管吻合術後43年目に発症した肝門部領域胆管癌の1切除例

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  • A case of bile duct cancer, 43 years after cholangiojejunostomy for congenital biliary dilatation

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抄録

<p>症例は59歳女性.15歳時に先天性胆道拡張症に対して拡張胆管・空腸吻合術を施行された.上腹部痛の精査で肝内結石を指摘され当院へ紹介された.内視鏡検査では,左肝管の不整な狭窄を認め左肝管入口部と胆管空腸吻合部に粘膜の発赤と不整がみられ,生検で中分化型腺癌と診断された.拡張胆管・空腸吻合術後の拡張胆管に発生した肝門部領域胆管癌に対し肝左葉・尾状葉切除,肝外胆管+吻合部空腸切除および胆道再建術を施行した.病理組織所見で,胆管内に結節浸潤型の高分化型腺癌を認め,T1bN0M0,Stage IでR0切除であった.現在術後2年3カ月,無再発生存中である.先天性胆道拡張症に対する拡張胆管・空腸吻合術は発癌の高リスクであり,発癌後の予後は不良といわれている.小児期に本症例のような内瘻術を受け,定期的なサーベイランスがなされず経過している症例がいることを念頭に,そのような症例では肝内結石などの発生時に遺残胆管の癌合併も考慮した精査が重要である.</p>

収録刊行物

  • 胆道

    胆道 30 (5), 876-882, 2016

    日本胆道学会

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