Bio治療における肝炎ケアについて
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- 伊藤 聡
- 新潟県立リウマチセンター
書誌事項
- タイトル別名
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- Management of hepatitis in patients treated with biological disease modifying anti rheumatic drugs
抄録
<p> 関節リウマチの治療には,副腎皮質ステロイド(ステロイド),メトトレキサート(MTX)を中心とした抗リウマチ薬,さらに生物学的製剤(Bio)が使用されるが,いずれも免疫抑制作用があり,投与により,あるいは投与中止により肝炎の悪化をきたすおそれがある.これらの薬剤,特にMTXとBioを投与する前には,B型肝炎,C型肝炎のチェックが必要であり,HBs抗原,HCV抗体を測定する.近年,MTXやBioによるB型肝炎既往感染患者からの劇症肝炎(de novo肝炎)も報告されており,B型肝炎の既往感染に注意する必要がある.具体的には,HBs抗原が陰性であった場合,HBs抗体,HBc抗体を測定し,陽性の場合はHBV-DNAを測定する.治療開始後および治療内容の変更後少なくとも6か月間は,月1回のHBV-DNA量のモニタリングが望ましい.6か月以降は,治療内容を考慮して間隔および期間を検討する.HBV-DNA量が2.1logcopies/ml以上になった場合は,エンテカビルの投与を開始する.その場合には,肝臓専門医へのコンサルトが望ましい.当院では,B型肝炎既往患者にMTXやBioを使用中に,HBV-DNAが陽性化し,エンテカビルの投与により陰性化した症例を数例経験しており,実臨床でのHBV-DNAの定期的な測定の重要さが実感される.免疫抑制作用のある薬剤は,すべてde novo肝炎を来す可能性があることが判明しており,ステロイド,免疫抑制薬の投与開始時あるいは投与中の患者でもB型肝炎の既往感染をチェックする必要がある.<br> 一方,C型肝炎に関しては,B型ほど慎重になる必要はないがやはり肝臓専門医にコンサルトを行うことが望ましい.</p>
収録刊行物
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- 臨床リウマチ
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臨床リウマチ 28 (4), 311-316, 2016
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679319255424
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- NII論文ID
- 130005397820
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- ISSN
- 21890595
- 09148760
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可