化学療法施行中に皮下埋込型中心静脈ポート感染が原因となった敗血症性肺塞栓症の1例

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  • A Case of a Septic Pulmonary Embolism Caused by Infection of a Subcutaneously Implanted Central Venous Port

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抄録

乳癌の化学療法中に,皮下埋込型中心静脈ポート感染が原因となった敗血症性肺塞栓症を発症した1例を経験したので報告する.症例は53歳女性.左乳癌,腋窩・頸部リンパ節転移,多発肺転移,左胸水貯留の診断となり,Paclitaxel+Bevacizumabによる化学療法を開始した.末梢の血管確保が困難であったため2コース目投与前に右鎖骨下静脈からカテーテルおよび胸壁皮下にCVポートを留置し,その後はポートから化学療法を行った.化学療法は著効したが,4コース目の途中で数日間続く発熱があり,胸部CTで両肺に多発する空洞病変を認めたため入院となった.皮下埋込型中心静脈ポート感染が原因となった敗血症性肺塞栓症を疑い,ただちに皮下埋込型中心静脈ポートを抜去した.細菌培養検査では,血液培養2セットとカテーテル先端からいずれもMethicillin-Sensitive Staphylococcus Aureus(MSSA)が検出された.抗生剤を投与し,発熱はすぐに軽快して第8病日に退院となった.約1カ月後に施行した胸部CTでは肺の空洞性病変は消失していた.皮下埋込型中心静脈ポート造設後の合併症に感染があり,ときに敗血症性肺塞栓症などの重篤な状態に至る場合がある.皮下埋込型中心静脈ポートの感染を疑った場合はすぐに抜去し,抗生剤投与を行うことが重要であると考えられた.また肺に結節病変・空洞病変を認めた時には皮下埋込型中心静脈ポート感染を原因とした敗血症性肺塞栓症を鑑別診断として考えることも重要である.

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