速度論的に制御された“<i>E</i>–選択的な”オレフィンメタセシス

DOI
  • 鍬野 哲
    千葉大学大学院理学研究科化学コース

抄録

オレフィンメタセシスは,二種のオレフィンから結合の組み替えが起こり,新たなオレフィンが生成する反応である.一般的に可逆反応であるため,熱力学的に安定な異性体が優先して得られる.1, 2-二置換オレフィンの多くはE体のほうが熱力学的に安定であるが,ハロゲン化アルケニル化合物の場合,Z体のほうが熱力学的に安定である(図1-①).そのため,既存のメタセシス反応によるE-選択的な合成は困難であった.今回,Hoveydaらによって嵩高いアリールオキシ配位子を持つモリブデン錯体触媒を用いて,速度論的制御に基づいたE-選択的なオレフィンメタセシス反応が報告されたので紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Hoveyda A. H., Zhugralin A. R., Nature, 450, 243-251(2007).<br>2) Wiberg K. B. et al., J. Chem. Theory Comput., 5, 1033-1037(2009).<br>3) Nguyen T. T. et al., Science, 352, 569-575(2016).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 53 (3), 260-260, 2017

    公益社団法人 日本薬学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204499011712
  • NII論文ID
    130005398251
  • DOI
    10.14894/faruawpsj.53.3_260
  • ISSN
    21897026
    00148601
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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