P1-05 TankyraseによるSH3BP2を介した破骨細胞分化調節の検討

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抄録

<p>  【目的】Tankyraseは,poly(ADP-ribose)polymeraseとして機能し,標的蛋白の分解を誘導する.Axinを介するWnt経路調節作用以外に,近年アダプター蛋白であるSH3BP2の分解にも関与することが報告された.SH3BP2は免疫系細胞に広く発現する細胞内蛋白で,我々はSH3BP2機能亢進マウスで,RANKL誘導性の破骨細胞分化が亢進することを報告してきた.Tankyraseの骨代謝における役割は十分に解明されておらず,本研究では,Tankyrase阻害薬を用いて,Tankyraseの破骨細胞分化に及ぼす影響について検討した.【方法】マウス前破骨細胞株RAW264.7細胞および野生型マウス骨髄由来マクロファージを,Tankyrase阻害薬存在下にRANKLで刺激し,破骨細胞分化・機能を評価した.Western blot法にてSH3BP2,NFATc1発現を解析した.【結果】RAW264.7細胞および骨髄由来マクロファージ培養系ともに,Tankyrase阻害薬によりRANKL誘導性破骨細胞形成が亢進し,破骨細胞関連遺伝子発現および骨吸収活性も有意に増強した.この作用はWnt阻害薬では認めなかった.Tankyrase阻害薬により,細胞内SH3BP2は有意に増加し,核におけるNFATc1発現は有意に増加していた.NFATc1阻害薬(FK506)により,Tankyrase阻害薬による破骨細胞形成促進作用が抑制された.【結論】Tankyrase阻害薬は,SH3BP2蛋白発現を亢進し,NFATc1核移行亢進を介して,破骨細胞分化を増強した.Tankyraseは破骨細胞分化の新規調節因子と考えられる.</p>

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