WS5-5 シェーグレン症候群唾液腺病変の免疫評価

  • 中村 英樹
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 先進予防医学共同専攻 先進予防医学講座 リウマチ・膠原病内科学分野

抄録

<p>  シェーグレン症候群(SS)小唾液腺内の浸潤単核球はCD4+Tリンパ球が主な役割を示すが,病期が進むとB細胞や形質細胞の浸潤も確認され,これらの単核球はCD40,CD40リガンドなどB細胞の生存に重要な分子発現を示し,さらにBcl-2などの細胞死を抑制する分子の強い発現を示す.CD40陽性単核球は,JNKやp38などMAP kinase発現も示すため,SS唾液腺の免疫反応に深く関与している.細胞死の観点からはCD4+Tリンパ球はFasリガンド発現を示し腺組織へTUNEL染色陽性のアポトーシスを誘導することが想定されるが,細胞死の程度は多くないことから前述のBcl-2 familyが細胞死制御に関わっていると想定される.また,抗HTLV-I抗体陰性例と陽性例との比較から,陰性例では異所性二次濾胞が10-20%程度に観察され,濾胞内に存在する濾胞性樹状細胞(FDC)や濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh細胞)が濾胞胚中心形成や高親和性B細胞選択や記憶B細胞分化に重要な役割を果たしている.一方,SS腺組織の生存調整には,上皮成長因子(EGF)およびその下流にあるPI3K/Akt経路が重要な役割を果たしている.SS患者由来培養唾液腺上皮細胞を抗Fas抗体やPI3Kインヒビターで処理すると細胞死が誘導されるが,EGFは濃度依存性にこれを抑制する.Toll-like receptor3リガンドであるpoly I:Cによる唾液腺上皮細胞死誘導もEGFは抑制し,広く唾液腺組織の免疫調整因子として働いていると予想される.</p>

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