初回肺結核治療中において短期間に多剤耐性化した結核菌の遺伝子解析

  • 稲垣 孝行
    国立病院機構東名古屋病院臨床研究部 名城大学薬学部微生物学研究室 高山赤十字病院薬剤部
  • 中川 拓
    国立病院機構東名古屋病院臨床研究部 国立病院機構東名古屋病院呼吸器内科
  • 前田 伸司
    結核予防会結核研究所抗酸菌レファレンス部結核菌情報科
  • 村瀬 良朗
    結核予防会結核研究所抗酸菌レファレンス部結核菌情報科
  • 市川 和哉
    名古屋大学医学部付属病院薬剤部
  • 森山 誠
    国立病院機構東名古屋病院臨床研究部 名城大学薬学部微生物学研究室 国立病院機構名古屋医療センター薬剤科
  • 打矢 惠一
    名城大学薬学部微生物学研究室
  • 八木 哲也
    名古屋大学医学部付属病院中央感染制御部
  • 二改 俊章
    名城大学薬学部微生物学研究室
  • 小川 賢二
    国立病院機構東名古屋病院臨床研究部 国立病院機構東名古屋病院呼吸器内科

書誌事項

タイトル別名
  • EXTENSIVE GENETIC ANALYSIS OF CLINICAL TUBERCULOSIS ISOLATES AND ANALYSIS OF HOST FACTORS TO EVALUATE RAPID DEVELOPMENT OF MULTIDRUG RESISTANCE DURING INITIAL TREATMENT
  • 初回肺結核治療中において短期間に多剤耐性化 した結核菌の遺伝子解析 : 臨床分離株を用いて
  • ショカイ ハイケッカク チリョウ チュウ ニ オイテ タンキカン ニ タザイ タイセイカ シタ ケッカクキン ノ イデンシ カイセキ : リンショウ ブンリカブ オ モチイテ
  • ―臨床分離株を用いて―

この論文をさがす

抄録

<p>〔緒言〕初回肺結核治療中に多剤耐性結核となった患者由来の菌株について多剤耐性化前後における遺伝子解析を行い,臨床的背景と併せて耐性化の原因を検討した。〔方法〕多剤耐性化前後の検体について,薬剤感受性試験,スポリゴタイピング,VNTR型別解析,薬剤耐性遺伝子の解析を実施し,臨床的背景についても検討した。〔結果〕薬剤感受性試験の結果,INHとRFPに対して,多剤耐性化前後で感受性から耐性に変化した。薬剤耐性遺伝子の変化は,耐性化後にrpoBの変異S531Lがみられた。スポリゴタイピングの結果,北京型株であった。VNTR型別解析では,35領域すべてで一致した。宿主には,合併症として糖尿病があった。〔考察〕菌遺伝子解析の結果,再感染やポリクローナル感染ではなかった。北京型株の中でも耐性化が起こりやすい遺伝子系統に含まれていた。合併症として糖尿病があり,耐性化が起こりやすい宿主であった。宿主側と菌側共に耐性化が起こりやすい因子があり,短期間に多剤耐性化したと考えられた。耐性化のリスクが高い患者で排菌が続く場合は,RFP耐性遺伝子迅速検出法を用いて,定期的に薬剤耐性化をmonitoringする必要性があることが示唆された。</p>

収録刊行物

  • 結核

    結核 88 (7), 595-604, 2013

    一般社団法人 日本結核病学会

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ