1年次からの学習班・クラス会議の運用とその効果判定

DOI
  • 白石 和也
    上尾中央医療専門学校 教育部 理学療法学科
  • 高島 恵
    上尾中央医療専門学校 教育部 理学療法学科
  • 眞塩 紀人
    上尾中央医療専門学校 教育部 理学療法学科

書誌事項

タイトル別名
  • 学習・クラスマネジメントの手法として

抄録

【はじめに,目的】養成校に入学した学生は,理学療法教育ガイドラインに示されている,卒前教育における教育目標,「理学療法の基本的な知識と技能を習得するとともに自ら学ぶ力を育てる」の到達に向けて,新たな環境で,新たな学びとしての理学療法を学ぶこととなる。この新たな学びにおける確実な目標到達の為には,1年次早期からの学習・クラスマネジメントが重要であると考えられる。本校は3年制昼間部の専門学校であるが,このたび新たな試みとして,1年次からの学習班ならびにクラス会議の運用を実施している。そこで本研究では,学習班,クラス会議の目的,運用方法の紹介とともに,その効果判定を実施したのでここに報告する。【方法】学習班の目的は,主体的かつ計画的な学習行動の獲得と学習実行の定期的な評価,改善の実施(PDCAをまわす),学習習慣・方法の獲得,効果的な協同学習の実施とした。班のメンバーは教員が検討した4~5名で構成し,週に1回の頻度で,学習班にて各個人における目標,計画の確認および実行の評価,改善を実施し,加えて学習班としての学習を計画したうえで実行に繋げた。クラス会議の目的は,クラス運営に関わる事項を学生が主体的に話し合い,検討することで,学生自身の力でより良い学習環境,学生生活を形成していくこととした。会議メンバーはクラス委員8名,学年担当教員2名を中心として構成し,月に1回の頻度で,主に学生からだされた議題ならびに各学習班の活動状況について話し合い,検討が実施され,会議後その内容はクラスへの共有を図った。効果判定は,対象を本校理学療法学科,学習班・クラス会議運用後および運用1・2年前の計3クラスの学生(留年生を除く各39~40名)とし,方法は1年次前期における14科目のGrade Point Average(以下GPA),ならびに再試験総数を調査し,比較検討を実施した。加えてクラス会議にて前期の学習を振返りした内容を確認した。統計はGPAにおける3群を,Shapiro-Wilk検定にて正規分布に従うことを確認したうえで,Tukey法にて多重比較を実施した。有意水準はp<0.05とし,統計処理はR2.8.1にて算出した。【結果】GPAは運用後2.81±0.51,運用1年前2.61±0.52,運用2年前2.45±0.57であり,3群間の比較では運用後と運用2年前の間に有意な差がみられた。再試験総数は運用後60,運用1年前83,運用2年前111であった。クラス会議による前期の振返りにおいては,課題点の抽出および改善策の立案とともに,学習班,クラス会議が目的に準じて概ね機能していた内容の意見が多く確認された。【結論】結果から,1年次からの学習班,クラス会議の運用によって一定の効果が得られたこと,また,その運用が学習・クラスマネジメントの手法として活用できるものであることが示唆された。しかしながら,GPA,再試験総数に関しては交絡因子があると考えられ,今後,他の因子も含めた検討が必要である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680556755200
  • NII論文ID
    130005418758
  • DOI
    10.14900/cjpt.2015.1746
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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