眼窩骨膜下膿瘍を合併したビスフォスフォネート関連顎骨壊死症例

  • 牧原 靖一郎
    香川労災病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 岡野 光博
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学
  • 浦口 健介
    香川労災病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 岡 愛子
    香川労災病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 假谷 伸
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学
  • 西﨑 和則
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Bisphosphonate-Related Osteonecrosis of the Jaw with Subperiosteal Orbital Abscess

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抄録

<p>ビスフォスフォネート(Bisphosphonate: BP)製剤は癌の骨転移の治療や,骨粗鬆症の予防に対して広く使用されている。一方,2003年に米国で初めて報告されたビスフォスフォネート関連顎骨壊死(Bisphosphonate-Related Osteonecrosis of the Jaw: BRONJ)はわが国においても少なからぬ発生を認め,その予防法や対処法の確立は急務である。今回我々は,副鼻腔炎から眼窩骨膜下膿瘍を続発したBRONJ症例を経験したので報告する。</p><p>症例は86歳,女性。1ヶ月前から続く右側上歯肉部からの膿汁排出を主訴に近医歯科を受診し,当院歯科口腔外科へ紹介となった。約10年前より骨粗鬆症に対してBP製剤であるアレンドロネートを,慢性関節リウマチに対してメチルプレドニゾロンやメトトレキサートを内服していた。CTにて右側副鼻腔陰影を認め,当科を紹介され慢性副鼻腔炎と診断した。歯科にてBRONJと診断され,アレンドロネート休薬から3ヶ月後に腐骨除去と右内視鏡下副鼻腔手術(以下ESS)を予定し,抗生剤での保存的加療を開始した。休薬から2.5ヶ月後に右眼瞼発赤が生じ,造影CTにて右眼窩骨膜下膿瘍の所見を認めた。同日,眼窩紙様板除去を含むESSと腐骨除去,周囲骨削除の緊急手術を施行した。術後,骨膜下膿瘍,骨壊死の再増悪もなく,経過良好である。BRONJ症例への腐骨除去など外科治療の際にはBP製剤の休薬が望まれるが,BRONJを伴う慢性副鼻腔炎に対しては,全身状態が許せば通常上顎骨に対して侵襲は少ないと考えられるESSを腐骨除去より先行させることも選択肢となりうる可能性が示唆された。</p>

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参考文献 (15)*注記

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