孤立性蝶形骨洞病変に対する手術治療の臨床的検討

  • 端山 昌樹
    大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 識名 崇
    大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 市立池田病院耳鼻いんこう科
  • 西池 季隆
    大阪労災病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 増村 千佐子
    市立吹田市民病院耳鼻咽喉科
  • 太田 有美
    大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 前田 陽平
    大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 武田 和也
    大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 岡﨑 鈴代
    大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 猪原 秀典
    大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

書誌事項

タイトル別名
  • Retrospective Analysis of Surgical Treatment in Isolated Sphenoid Sinus Disease

この論文をさがす

抄録

<p>孤立性蝶形骨洞病変は蝶形洞にのみ病変のある疾患群であり,比較的頻度は少ない。当科で2001年以降に鼻内視鏡による手術加療を行った孤立性蝶形骨洞病変は40例であった。悪性腫瘍2例を除いた38例について,後向きの検討を行った。疾患の内訳は炎症性病変が14例,嚢胞が11例,真菌症が8例,腫瘍性疾患が5例であった。手術法の内訳は経鼻腔法が18例と最も多く,経鼻中隔法は14例,経篩骨洞法は6例であった。上鼻甲介は27例(70.3%)と多くで切除されおり,篩骨洞の開放は16例(42.1%)で行われていた。術後に蝶形骨洞の閉鎖または狭窄による症状を呈したものは2例(5.3%)であった。手術アプローチによる術後の閉塞に差は認めず,経鼻中隔的なアプローチ法はその他の方法と同等の術後経過が得られた。また篩骨洞の開放の有無による術後閉塞にも差を認めず,蝶形洞内側の病変については,病変のない篩骨洞を開放しなくて済むことから,安全かつ低侵襲に施行出来る有用な手術手技であると考えられた。またシンスライスCTが撮影されていた17例についてOnodi cellとの関係を検討したところ,Onodi cellは9例で認められた。蝶口蓋動脈後鼻枝からの出血はOnodi cellを有さない症例でのみ発生しており,蝶形骨洞の発育が良い症例では蝶口蓋動脈後鼻枝の処理には注意が必要と考えられた。</p>

収録刊行物

参考文献 (6)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ