体腔液細胞診の免疫細胞化学における CytoRich Red 保存液の固定効果

書誌事項

タイトル別名
  • The fixation effect of CytoRich Red preservative fluid in immunocytochemistry of effusion cytology
  • —カルレチニンと CD146 の発現比較—
  • —Comparison of calretinin and CD146 expression—

この論文をさがす

抄録

<p>目的 : われわれは体腔液細胞診の免疫細胞化学における CytoRich Red 保存液の固定効果について検討した.</p><p>方法 : 対象は良性体腔液の反応性中皮細胞 23 例, 上皮型中皮腫 8 例および肺腺癌 10 例の 41 例である. 良性体腔液, 肺腺癌症例は, 同一検体を CytoRich Red 固定液および 95%エタノール固定液で固定した. 上皮型中皮腫は CytoRich Red 固定の 4 例と 95%エタノール固定の 4 例である. これらの症例に対してカルレチニンと CD146 抗体を用いた免疫細胞化学を施行し, 陽性率を算出し, 11%以上を示した症例を陽性と判定した.</p><p>成績 : 反応性中皮細胞症例は両固定液においてカルレチニン陽性, CD146 陰性を示した. カルレチニン陽性率は, CytoRich Red 固定のほうが高く, 有意差を認めた (p<0.05). 一方, CD146 は少数の反応性中皮細胞に発現を認めたが, 有意差はみられなかった (p=0.15). 上皮型中皮腫症例は両固定液にて CD146 陽性を示し, 肺腺癌症例は 4 例の CD146 陽性を認めた.</p><p>結論 : カルレチニンは固定液により陽性率が異なり, CD146 は反応性中皮細胞においても少数ではあるが陽性を示す場合がある. 体腔液細胞診において, 固定液の違いや抗体クローンにより免疫細胞化学の発現に影響を与えることがあるため, 固定法の選択とその評価に留意すべきである.</p>

収録刊行物

参考文献 (5)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ