視覚刺激と化学刺激によるサクラマス幼魚の捕食者回避行動の誘引

  • 宮本 幸太
    National Research Institute of Aquaculture, Fisheries Research Agency

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of visual and chemical stimuli on predator avoidance behavior in juvenile masu salmon <I>Oncorhynchus masou</I>
  • Effect of visual and chemical stimuli on predator avoidance behavior in juvenile masu salmon Oncorhynchus masou

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抄録

放流用種苗の捕食者回避トレーニング時に必要となる脅威刺激を選定するため,サクラマス幼魚を視覚刺激(鳥型模型)と化学刺激(同種他個体の表皮から抽出した化学警戒物質)に晒し,それぞれの刺激に対する反応行動を調べた。その結果,サクラマス幼魚は両刺激に対し,捕食者回避行動(シェルターへの逃避,底石への隠伏,遊泳行動の停止,摂餌行動の中断)を示した。刺激時にシェルターへ逃避した個体数と底石へ隠伏した個体数を両試験間で比較した結果,シェルターへ逃避した個体は視覚刺激時よりも化学刺激時に有意に多く,底石へ隠伏した個体は化学刺激時よりも視覚刺激時に有意に多かった。これらの結果から両刺激はサクラマス幼魚の捕食者回避行動を誘引するが,隠れ場所の選択に異なる影響を与える恐れがあると示唆された。

収録刊行物

  • 水産増殖

    水産増殖 64 (1), 43-51, 2016

    日本水産増殖学会

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