樹状細胞を活性化する経鼻DNAアジュバントの開発 -感染症・NCD制御を目指す粘膜ワクチン-

書誌事項

タイトル別名
  • Development of Novel Nasal DNA Adjuvants Targeting NALT Dendritic Cell Activation -Challenge of Controlling NCDs as well as Infectious Diseases-
  • 樹状細胞を活性化する経鼻DNAアジュバントの開発口腔衛生学会雑誌 : 感染症・NCD制御を目指す粘膜ワクチン
  • ジュジョウ サイボウ オ カッセイカ スル ケイ ビ DNA アジュバント ノ カイハツ コウコウ エイセイ ガッカイ ザッシ : カンセンショウ ・ NCD セイギョ オ メザス ネンマク ワクチン

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抄録

<p> WHO(2014)のレポートでは, 2012年全世界の総死亡数は5,600万人であり,その内訳として非感染性疾患(NCD)によるものが約3,600万人*1,感染症が約950万人と報告している*2.超高齢社会のわが国においても,悪性新生物(ガン),心疾患,肺炎による死亡数は上位を占め,年々増加の一途をたどっており,「健康寿命の延伸」と「健康格差の縮小」はわが国の保健政策の課題となっている. </p><p> われわれはこれまで,粘膜からの病原微生物の侵入阻止ならびに侵入後の体内防御を可能とする粘膜ワクチンの研究を行ってきた.本稿では,粘膜ワクチンによって誘導される粘膜免疫応答と経鼻投与型(経鼻)ワクチンの特性について述べたうえで,樹状細胞を活性化するサイトカインFlt3 ligandを発現するDNAベクターや,CpGオリゴデオキシヌクレオチドを併用した粘膜DNAアジュバント(免疫賦活化剤)について,われわれのこれまでの研究開発について概説する.またそれらアジュバントを用いた経鼻ワクチンが,肺炎球菌感染下の老齢マウスにおいて,若齢マウスとかわらない免疫応答を誘導し肺炎球菌の定着を阻害することや,歯周病原細菌感染により誘発したアテローム性動脈硬化を経鼻ワクチンが抑制することを紹介する.</p><p> 近い将来,粘膜ワクチンが,感染症だけでなくNCDをも制御し,わが国の「健康寿命の延伸」と「健康格差の縮小」という国家課題の克服と,世界的に進行する高齢社会の人々のQOL向上に貢献するツールになりうることを期待する.</p>

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