多層カーボンナノチユーブの肺と胸膜組織における有害性と発がん性のin vitro-in vivoシステム検索法の開発

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タイトル別名
  • Development of a combined in vitro-in vivo evaluation system for the assessment of the health hazard and carcinogenic potential of multi-walled carbon nanotubes

抄録

目的:金属と炭素ナノマテリアル(NM)の肺内投与による有害作用と発がん性の機序解析に基づいた一連のin vitro-in vivo評価系の確立を目指した。NMは生体内で異物としてマクロファージ(Mφ)に貪食されてサイトカインやROS産生が誘発されて組織・細胞障害を来たし、さらに慢性炎症と発がんに至る可能性がある。材料と方法:材料は多層カーボンナノチューブ(MWCNT;N社、S社)陽性対照はクロシドライト(青石綿)を用いた。検索モデルは、1)ラットの肺より得た初代培養MφにNMを貪食させた際の培養液上清のヒト肺がん、中皮腫細胞等に対する増殖活性と機序の解析、2)ラットにNMCNTを肺内噴霧投与する9~14日の短期試験による肺と胸腔および全臓器における局在と毒性/増殖病変の解析、3)肺発がん処置後にMWCNTを肺内投与する20~30週のプロモーションモデルによる腫瘍性増殖病変の検証、4)さらに、MWCMTのみで増殖病変が観察された場合は可逆性試験による検証、から構成された。結果:これらの研究において、① in vitroin vivoでMWCNTを貪食したMφからサイトカイン種が放出され異物炎症が誘発されたが、そのスペクトラムは検体によって異なり一様ではなかった。血中移行すれば曝露マーカーとなり得る(Mip1α、Carcinogenesis, 2010)③ MWCNTは肺から胸腔、リンパ節、脾、肝、腎、脳等へ移行し、胸膜中皮細胞の増殖を誘発した。MWCNT肺投与ラットの胸腔洗浄液中にはMWCNTを貪食していた多数のMφがみられた。④ MWCNTは肺発がんを促進しなかった。以上から、この方法は短期で毒性機序解析に有効であり、また長期発癌試験に代替でき得る。これらの成果は OECDの国際的共同プログラムのDossier等評価文書作成への貢献が期待できる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680524811520
  • NII論文ID
    130005468855
  • DOI
    10.14869/toxpt.41.1.0_s10-4
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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