針葉樹における光合成の光防御機構

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タイトル別名
  • Mechanism of photosynthesis against excess light in conifer

抄録

光合成の光阻害は直接的には活性酸素の害であり、植物のストレス耐性や光防御は活性酸素対策と言い換えることができる。酸素は葉緑体ストロマにおいて炭酸固定を阻害し、光呼吸を促進する。光呼吸は還元力を消費することで、活性酸素の生成を間接的に抑制する。酸素は葉緑体チラコイド膜の電子伝達にも作用する。プラスチド・ターミナル・オキシデース(PTOX)は、プラストキノールを酸化し、酸素を還元する。PTOX反応は、電子伝達鎖の還元レベルを調節する安全弁の役割を果たすことで、活性酸素の生成を抑制する。光化学系Iの下流でも酸素は還元される(メーラー反応)。生成した活性酸素は、消去系water-waterサイクルにおいて水へと還元される。針葉樹は葉の酸素還元能が極めて高く、酸素還元に伴う電子伝達はトータルの電子伝達の10%にも達する。この性質はグネツムやウェルウェチアまで含めた全ての裸子植物に共通する。一方、被子植物の酸素還元能は、全電子伝達の1%程度でしかない。針葉樹の高い酸素還元能の要因はメーラー反応にある。針葉樹(裸子植物)は被子植物よりも酸素依存の光防御機構(メーラー反応)が発達している。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205710750464
  • NII論文ID
    130005474261
  • DOI
    10.11519/jfsc.125.0_330
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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