ウシ子宮内膜組織におけるMX1とMX1B発現に及ぼすI型インターフェロンの応答性およびその受容体の発情周期別比較

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抄録

【目的】ウシMX1はI型インターフェロン(IFN)-α/β誘導性遺伝子であり,MX1Bというスプライシング変異体が存在する。我々は第2回北海道畜産草地学会において,子宮組織におけるMX1MX1B mRNAが妊娠中期と比べて妊娠初期で有意に高い発現を示すことを報告した。このことから,MX1MX1Bの発現には,妊娠認識時にのみ胚より産生されるIFN-τが深く関わることが示唆された。IFN-τはI型IFNに属するが,IFN-α/βとは異なる一過性の産生パターンを示す。本研究では,MX1MX1BのI型IFN応答性差異の有無を明らかにする目的で,ウシ子宮組織培養系を用いてIFN-τまたはIFN-αによるMX1MX1B mRNAの発現応答を比較し検証した。さらに,発情周期の違いによる両遺伝子のIFN応答性の差異について,I型IFN受容体発現と併せて検証した。【材料と方法】黄体所見をもとに前期,中期,後期に分けた食肉処理場由来のウシ非妊娠子宮から内膜組織を採取した。これらの組織小片を1時間前培養後,抗ウイルス活性を合わせたIFN-τを含む濃縮妊娠子宮灌流液(D18)またはウシ組換えIFN-α添加で培養し,12および24時間後のMX1MX1B mRNAの発現量を定量PCRで調べた。また,採取直後の子宮組織におけるI型IFN受容体IFNAR1IFNAR2の発現量も定量PCRで調べた。【結果と考察】子宮灌流液(D18)またはIFN-α添加によってMX1MX1Bともに発現が誘導され,MX1Bに対しMX1が有意に高い発現量を示したが,両添加区間で応答性に差はみられなかった。発情周期別で比較した結果,12時間培養後のMX1MX1Bの発現量ならびに採取直後の子宮組織でのIFNAR1IFNAR2の発現量は後期で低い傾向がみられた。以上より,発情周期の違いで子宮内膜におけるI型IFN受容体の発現量が変化し,それに伴いI型IFNによるMX1MX1Bの発現応答性に差異が生じる可能性が示唆された。

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  • CRID
    1390001205715050624
  • NII論文ID
    130005475188
  • DOI
    10.14882/jrds.107.0_or2-24
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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