SDラットにみられた真性半陰陽の1例

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • True hermaphroditism in a Sprague-Dawley rat

抄録

真性半陰陽は1個体に精巣及び卵巣を持つものや,卵精巣を有するものであり,その発生は稀である.今回,雄として入手したラットにおいて真性半陰陽が認められたので,その詳細を検索した.<br>本症例は,ある毒性試験に用いられた6週齢のCrl:CD(SD)ラットの対照群の1例である.肉眼的に陰嚢は発達していなかったが,外部生殖器は雄性を示した.解剖時に,本動物は半陰陽であることが分かった.両側の生殖腺は正常な雌の卵巣の位置に存在し,右側は7mm大,左側は11mm大を示した.卵管は認められなかった.生殖腺に隣接して精巣上体が存在し,子宮角及び精管が両側に並行して認められたが,左子宮角の上部は痕跡的であった.膀胱背側に子宮頚部及び短い膣が存在し,精嚢は子宮頚部の背側に,前立腺は膣周囲に存在した.膣は外部に開口せず,前立腺に続いて尿道,尿道球腺及び陰茎が認められた.<br>組織学的に右生殖腺は卵精巣であり,未熟な精細管に混ざって卵胞が認められたが,明らかな卵子や黄体は認められなかった.左生殖腺は未熟な精巣であり,わずかに精子形成が認められた.両側の精巣上体に精子はみられず,左側には少数の脱落した生殖細胞が認められた.右精管は上皮細胞が軽度に萎縮していたが,左精管は正常な組織像を示した.右子宮角は正常な組織像を示したが,左子宮角は痕跡的で,管腔は認められなかった.子宮頚部及び膣は正常な組織像を示し,膣粘膜は粘液化していた.精嚢,前立腺,尿道,尿道球腺及び陰茎は正常だった.以上の結果,本例は一側性真性半陰陽と診断された.なお,他臓器に著変は認められなかった.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205550307072
  • NII論文ID
    130005483386
  • DOI
    10.14869/toxpt.42.1.0_p-157
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ