生体内環境を考慮した<I>in vitro</I>毒性評価法

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タイトル別名
  • Methods for <I>in vitro</I> toxicology research that reflect an <I>in vivo</I> microenvironment

抄録

毒性評価において、in vitroの細胞培養を用いた評価系は、ヒトにおける有害事象や副作用リスクの最小化、疾患モデル動物などを用いたin vivoの評価系の代替法として極めて重要である。また疾患モデル動物については、ヒトにおける病態生理を必ずしも反映していない状況も近年報告され、このようなin vivoの系の限界から細胞による評価系の意義も認識されつつある。<br>細胞を用いたin vitroの評価系が成立する大前提は、細胞がin vitroの環境においてもヒトの生体内における同種の細胞と同じ挙動を示すことである。しかし継代細胞はそれらの細胞が由来する生体内の細胞と比較し、種々の形質が異なっている。また初代培養細胞も単離後はその生体内における形質を急速に失う。したがって細胞を用いた毒性評価を正しく行うため、in vitroで培養中の細胞にいかに生体内における細胞機能を再現させるか、ということが大きな課題である。<br>培地の組成などといった生化学的な因子に加え、細胞外基質の硬度などといった微細環境の物理的な特性が細胞機能に多大な影響を与えることが昨今知られるようになった。実際、正常組織と病的状態の組織では硬度が異なっており、さらに肝臓などにおいては硬度の変化が病的状態を引き起こすことも報告されている。<br>in vitroの細胞培養において微細環境の生化学的特性と物理的特性の両者を最適化することにより、生体内における細胞機能を再現する実例を紹介し、毒性評価への適応による意義を考える機会としたい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680525686144
  • NII論文ID
    130005483695
  • DOI
    10.14869/toxpt.42.1.0_s6-4
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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