有機アンチモン化合物の合成・構造・機能から周期表横断型元素化学への展開
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- 安池 修之
- 愛知学院大学薬学部
書誌事項
- タイトル別名
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- Development of elemental chemistry by using periodic table intersection from synthesis, structure and property of organoantimony compounds
抄録
周期表15族第5周期に位置するアンチモン(Sb)は無機化合物を中心に半導体材料,重合触媒など広く活用されている.また,Sbを構成原子に持つSodium stibogluconateは顧みられない病の1つであるリーシュマニア症の第一選択薬になっている.Sbなどの高周期典型元素は炭素,窒素,酸素の持つs, p軌道に加えてd軌道を持つこと,共有結合に加えてイオン結合や配位結合も可能となること,構造を四面体から多面体に変化できることなど,従来までの第2周期元素とは異なる物性や機能の発現が期待されている.しかしながら,これまで合成法が確立していなかったために,基礎的な物性や化学反応性などは未開拓となっていた.それらとの関連から有機Sb化合物の合成・構造・機能に着目した.さらに特定の元素に囚われず,元素の種類・原子価・立体構造・多点相互作用・元素相乗効果など有機金属化学の概念を有効に活用することを目的にしながら,高周期元素を網羅的に扱う周期表横断型元素化学を展開することで,ヘテロ原子の特性をより明らかにする研究に取り組んでいる.以下,3項目について述べる.<br>1)有機Sb化合物を活用したクロスカップリング反応:窒素官能基を持つ有機Sb化合物を合成するとともに,構造解析から窒素とSb間に超原子価結合が存在することを明らかとした.この結合はSb化合物を高度に活性化し,クロスカップリング反応の炭素―炭素結合形成反応に有効なことを見出した.2)15および16族元素を含む複素環合成と性質:二官能性アニオン等価体と高周期元素試薬との閉環反応により,母核5および7員複素環ならびにその類縁体を合成した.得られた化合物の芳香族性の有無・熱的安定性・発光挙動などを系統的に調べた.3)銅触媒を利用した有機セレン(Se)化合物の合成:空気雰囲気下,銅触媒を用いて14,15および16族元素を含むトリアリール体とジアリールジセレニドとの反応を行なった.その結果,Ar3Biの場合にのみ効率よくSe-アリール化が進行し,非対称ジアリールセレニド(Ar-Se-Ar’)が得られることが明らかとなった.
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 42.1 (0), S21-1-, 2015
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680525654016
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- NII論文ID
- 130005483779
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可