夏季の日射環境における高齢者の体温調節と温熱快適性に関する研究

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タイトル別名
  • Effects of outdoor thermal environment with solar radiation on thernoregulation and thermal comfort of the elderly in summer

抄録

【目的】夏季の屋外温熱環境は、高い気温や湿度に加えて日射が人の体温調節反応や熱的快適性に及ぼす影響が大きい1)。本研究では日射が高齢者に及ぼす影響を調べるために、屋外で被験者実験を行った。<br> 【方法】各10名の高齢男性および青年男性を対象とした。活動量の条件は座位、立位および歩行を模擬した踏み台昇降運動を30分間とし、各活動量の間に50分間以上の室内空調環境においての座位安静を保った。直腸温、皮膚温、心拍数、発汗量を推定するために体重を計測し、主観申告を質問紙調査した。温熱環境は、気温、湿度、グローブ温度、風速および日射量を連続測定・記録した。<br> 【結果】(1)屋外温熱環境は気温が30~32℃、相対湿度が50~60%、グローブ温度が42~47℃、風速が0.6~1.2m/s、日射量が400~800W/m2であった。直腸温は前室では36.9℃~37.2℃、屋外の歩行では高齢・青年ともに37.6℃まで上昇した。平均皮膚温は前室では33.5℃~34.5℃、屋外の立位・歩行では高齢・青年ともに35.5~36℃、座位では高齢が36.5℃、青年が37℃まで上昇した。(2)発汗量はいずれの条件においても青年の方が多い傾向が見られた。(3)心拍数は歩行では120拍/分程度まで上昇したが、高齢と青年で有意な差は認められなかった。(4)屋外での温冷感は「暖かい」から「非常に暑い」の範囲で、快適感は立位・座位で「どちらでもない」から「やや不快」の間でほぼ変化はなく、歩行で「やや不快」から「不快」まで低下した。30分経過時の申告は、座位の快適感は青年の方が有意に快適側、歩行の温冷感は高齢の方が有意に暑い側となり、歩行時の運動強度は青年の方が有意に楽な側の申告となった。<br>【まとめ】明確な年齢差は認められず、日射熱による熱負荷に対する反応は同程度であった。<br> 【文献】1)都築和代、磯田憲生、人間と生活環境 16(1):1-9 (2009)<br>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205560661248
  • NII論文ID
    130005484401
  • DOI
    10.11428/kasei.67.0_84
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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