温州ミカン果皮由来の熱水可溶性多糖類における抗酸化活性

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タイトル別名
  • Antioxidant activity of hot water soluble polysaccharide from Citrus unshiu peel.

抄録

【目的】国内における果実の消費量は減少傾向にある中で,消費者の食生活や嗜好の変化により,付加価値を高めた加工品の開発が期待されている。それに伴い,加工の際に排出される果皮などの有効な利用法の検討も必要になってくると考えられる。温州ミカンの果皮を乾燥させた「陳皮」は、生薬として古くから利用されており,温州ミカン果皮の有効な利用法の一つである。しかしながら,陳皮における成分とそれに関連する機能性については十分に明らかになっていない。 【方法】市販の温州ミカンの果皮を試料とした。果皮にメタノールを加え,磨砕・ろ過操作を行い,アルコール不溶性画分を回収した。アルコール不溶性画分を冷水または熱水にて抽出し(水溶性および熱水可溶性画分),それぞれの抗酸化活性をDPPHラジカル消去活性によって評価し,総ポリフェノール含量は、Folin-Ciocalteu法で測定した。また,多糖類結合型フェノールは,アルカリ加水分解することで遊離させ,それをHPLCにて分析した。 【結果】温州ミカン果皮のアルコール不溶性画分から得られた熱水可溶性画分では,水溶性画分に比べ抗酸化活性が大きかった。また,総ポリフェノール含量は熱水可溶性画分で多いことが確認された。多糖類結合型フェノールの分析では,主要な成分としてフェルラ酸が認められた。したがって,温州ミカン果皮由来の熱水可溶性画分に含まれる結合型フェノールのフェルラ酸が抗酸化活性に寄与していると考えられた。植物の多糖中に存在するフェルラ酸には,アルツハイマー型認知症などの脳疾患の予防効果があることから,陳皮は,加熱調理など利用法を工夫することで,有益な効果が期待できることが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680670077952
  • NII論文ID
    130005489670
  • DOI
    10.11402/ajscs.27.0_165
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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