スズ同位体を用いた青銅器の産地推定の可能性

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タイトル別名
  • Feasibility studies of Sn isotope composition for provenancing ancient bronzes.

抄録

青銅器の主成分元素であるスズを用いた産地推定の可能性を検討した.そのため,スズの主要鉱石である中国産のスズ石の同位体比の不均質性と,中国古代の青銅器のスズ同位体比の変動を比較した.また,スズは揮発性が高く鋳造の際に同位体分別を起こす可能性があることが指摘されている.鋳造実験を行い,同位体分別の大きさを評価した.<br><br>鋳造実験の結果,鋳造物の表面は材料のスズビーズに比べδ124/120Snスケールで0.22‰重くなっていた.これはスズが酸化物として蒸発する際に,軽い同位体が選択的に蒸発した影響を示していると解釈した.<br><br>中国出土の青銅器6試料は0.4‰の変動を示した.この変動は小さいながら有意であり,また鋳造の際に起こる同位体分別よりも大きい.<br><br>今回の結果は,スズ同位体組成の青銅器での変動が小さいため,産地推定への適用は難しいことを示唆している.しかし,同位体組成が特殊な青銅器試料に対しては,産地推定の可能性を示す物も存在した.発表では,スズ石との同位体組成の比較の結果を示す.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680712645248
  • NII論文ID
    130005492214
  • DOI
    10.14862/geochemproc.62.0_208
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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