血液培養より<i>Roseomonas gilardii</i> subsp. <i>gilardii</i>を分離した菌血症の一例

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タイトル別名
  • A case of bacteremia caused by <i>Roseomonas gilardii</i> subsp. <i>gilardii</i> from blood culture

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抄録

<p>Roseomonas属は,ピンク色素を産生するブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌で,特に免疫抑制者(悪性腫瘍,後天性免疫不全症候群,慢性腎不全,糖尿病)に感染症を引き起こす日和見感染の原因菌として臨床的重要性がある細菌である。今回,R. gilardii subsp. gilardiiによる菌血症の一例を経験した。症例は82歳の男性,肺炎と診断され当院入院となった。患者は一旦軽快したが,第10病日に再度発熱した。その際,血液培養を2セット採取し,1/2セットの血液培養からグラム陰性桿菌を検出した。分離された集落はピンク色でムコイド型の集落が発育した。同定検査はWalkAway40SI及びIDテスト・NF-18を用いたが同定できず,16S rRNA遺伝子配列解析にてR. gilardii subsp. gilardiiと同定した。薬剤感受性試験結果よりSulfamethoxazole-trimethoprimが投与され,患者は軽快した。Roseomonas属による感染症は本邦では報告例の少ない稀な症例である。多くの検査室においてRoseomonas属の菌種レベルまで同定することは困難である。そのため,本菌の臨床的重要性はあまり知られていない。今後,本菌の薬剤感受性試験成績や感染症治療成績を蓄積していくことが重要であると思われる。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 66 (2), 152-157, 2017

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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