メソトレキサート全身投与のみで治療し得た頸管妊娠の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of cervical pregnancy successfully treated with systemic methotrexate administration only and a literature review of cervical pregnancy management
  • 症例報告 メソトレキサート全身投与のみで治療し得た頸管妊娠の1例頸管妊娠に対する治療法の選択 : 自験例と文献的考察
  • ショウレイ ホウコク メソトレキサート ゼンシン トウヨ ノミ デ チリョウ シエタ ケイカン ニンシン ノ 1レイ ケイカン ニンシン ニ タイスル チリョウホウ ノ センタク : ジケンレイ ト ブンケンテキ コウサツ
  • 頸管妊娠に対する治療法の選択―自験例と文献的考察―

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抄録

<p>頸管妊娠は10000分娩に対して1例と推定される異所性妊娠の1型であり,まれな疾患である.以前は子宮全摘出術が唯一の治療とされていたが,近年ではメソトレキサート(MTX)や子宮動脈塞栓術(UAE)などの保存的治療により妊孕性の温存が可能になってきている.しかしながら,その症例数は少なく治療法はまだ確立されていない.今回われわれは,MTX全身投与のみによる保存的治療で妊孕性を温存し得た頸管妊娠の症例を経験したので,自験例と文献を基に頸管妊娠に対する治療法の選択について検討する.症例は27歳未経妊,自然妊娠に至り妊娠7週時に,経腟超音波で頸管内に14.5 mmの胎嚢およびその内部に胎児心拍を確認したため頸管妊娠と診断し,MTXの全身投与を行った.投与後7日目,血清hCG値の上昇,胎嚢の増大を認め,UAEの準備を行ったうえで2回目のMTX投与を行った.その後,多量出血を起こすことなく胎嚢と絨毛組織が自然排出され,血清hCG値は陰性化した.頸管妊娠に対するMTX投与の適応基準として,胎児心拍陽性症例や血清hCG高値症例では治療効果が乏しいとする報告があり,現在も参考にされている.しかし,本症例を含め,血清hCG高値症例や胎児心拍陽性症例でもMTX治療が奏効した報告が多く存在する.自験例を含む過去10年間の本邦頸管妊娠報告23症例を対象として検証したところ,血清hCG値や胎児心拍有無とMTX治療効果に明らかな相関は認めなかった.よって,早期の診断が可能である今日においては,胎児心拍の有無や血清hCG値にかかわらずMTX全身投与は第一選択となりうると考えられた.〔産婦の進歩69(1):8-12,2017(平成29年2月)〕</p>

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