局所リスクと環境影響を考慮した大学内の研究活動における化学物質リスク分析

  • 菊池 康紀
    東京大学総括プロジェクト機構「プラチナ社会」総括寄付講座 東京大学大学院工学系研究科
  • 辻 佳子
    東京大学環境安全研究センター 東京大学大学院工学系研究科

書誌事項

タイトル別名
  • A Chemical Risk Analysis for research activities in universities considering local risks and environmental impacts
  • キョクショ リスク ト カンキョウ エイキョウ オ コウリョ シタ ダイガク ナイ ノ ケンキュウ カツドウ ニ オケル カガク ブッシツ リスク ブンセキ

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抄録

<p>化学物質は多かれ少なかれ潜在的危険性としてのハザードを有しており、その使用においては常にリスクが存在している。産業プロセスにおいては徹底した安全管理が必要とされる中、大学における化学物質管理は、雇用関係のない学生が使用しており、一定周期でメンバーが入れ替わり、さらに研究室ごとに多様な目的に合わせて化学物質を選択、使用しているなどの理由により、リスクに基づく組織的な管理が困難になっている。本研究では、大学の研究で使用している化学物質に対し、既存のリスク評価手法と実データを用いて定量的な評価を行う。評価手法により可視化される化学物質リスクの情報が研究における意思決定に与える影響を考察することで、化学物質リスク管理における評価の役割を特定する。具体的な化学物質として、汎用的に使用される11種類の溶剤を取り上げ、ハザードに基づくリスクの認知を行った。さらに4種類の溶剤についてはライフサイクルアセスメントとリスクアセスメントにより、環境影響と作業者健康リスクを定量的に評価し、化学物質リスク管理においてこれらの評価手法の有用性を確認した。既存の評価手法による定量化と可視化は、大学におけるリスク管理において、明確な評価指標を与えられる。手法を組み合わせることで、使用状況に依存しない側面も含め、総合的なリスクの分析が可能となる。</p>

収録刊行物

  • 環境と安全

    環境と安全 8 (1), 1-14, 2017

    大学等環境安全協議会

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