片側の体幹の荷重支持機能の向上が動作に与える効果

DOI
  • 木下 和昭
    四條畷学園大学リハビリテーション学部 大阪産業大学大学院人間環境学研究科
  • 橋本 雅至
    大阪河崎リハビリテーション大学リハビリテーション学部
  • 中尾 英俊
    大阪河崎リハビリテーション大学リハビリテーション学部 大阪産業大学大学院人間環境学研究科
  • 田頭 悟志
    野崎徳洲会病院リハビリテーション科
  • 大槻 伸吾
    大阪産業大学大学院人間環境学研究科

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>体幹機能がパフォーマンスの発揮において重要な因子であることは周知の事実である。歩行や走行,ジャンプ動作は体幹に対して鉛直方向に荷重負荷が加わりながら,片脚で支持するような場面が求められ,我々はその時の体幹機能の評価方法として座位での片側の体幹荷重支持機能(Trunk Righting Test,TRT)に着目している。先行研究にてTRTの左右の特徴はside hop testの左右脚の優位性と関係していることや,TRTの筋活動様式はその同側が支持脚となる片脚立位と類似していることを報告してきた。</p><p></p><p>しかし,このようなTRTの向上が,どのような動作能力の向上に効果があるのかは十分に検討できていない。本研究の目的は,TRTの向上がどのような動作能力の向上に効果を与えるのか検討することとした。</p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は健常な男女36名(年齢19.7歳±0.7歳,体重60.5±11.7kg)とした。測定項目はTRT,膝関節伸展の最大等尺性筋力,side hop test,Triple hop distance test,片脚立位時の総軌跡長と外周面積と重心移動速度,片脚リバウンドジャンプ時の最大床反力値とジャンプ効率とした。TRTは先行研究に従い,ハンドヘルドダイナモメーター(以下,HHD)を用い,端座位姿勢から10cm外側へ立ち直り動作をさせた姿勢での体幹の支持力を測定した。膝関節伸展の最大等尺性筋力の測定は端座位にて実施し,HHDを用いた。side hop testは床面に左右30cm間隔にて貼られたテープの間を,片脚にて10往復跳び,その時間を測定した。Triple hop distance testは片脚にて前方へ3回跳び,跳躍距離を測定した。片脚立位時の総軌跡長と外周面積,重心移動速度の測定は重心動揺計を用い,10秒間の開眼での片脚立位とした。片脚リバウンドジャンプ時の最大床反力値とジャンプ効率の測定は床反力計を用い,4回連続で跳んだ際の最後の跳躍とした。ジャンプ効率の計算は足部が床面へ接地してから最大床反力値までの到達時間を算出し,最大床反力値を時間で除した。測定値は各項目3回実施し,その平均とした。測定は初回の測定(pre期)を実施した後に体幹トレーニングを1ヵ月間実施し,再び測定を実施した(post期)。またpost期から体幹トレーニングを2ヵ月間中断した後に再び測定を実施した(retraining期)。検討方法は各測定項目を各期においてフリードマン検定を用い,その後にボンフェローニ法にて比較検討した。統計処理はSPSS ver20を用い,有意水準は5%とした。</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>pre期とpost期の間ではTRTと膝関節伸展の最大等尺性筋力,ジャンプ効率に有意な増加が認められ,side hop testには有意な低下が認められた(p<0.05)。post期とretraining期の間ではTRT,ジャンプ効率に有意な低下が認められた(p<0.01)。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>TRTの向上は効率の良いジャンプ動作の向上に効果を与えることが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680554072192
  • NII論文ID
    130005608606
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.0598
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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