MRIを用いた脛骨近位端の形状評価

DOI
  • 遠藤 悠介
    茨城県立医療大学保健医療学部理学療法学科 筑波大学大学院人間総合科学研究科
  • 竹村 雅裕
    筑波大学体育系
  • 門間 正彦
    茨城県立医療大学保健医療学部放射線技術科学科
  • 岩本 浩二
    茨城県立医療大学保健医療学部理学療法学科
  • 水上 昌文
    茨城県立医療大学保健医療学部理学療法学科

書誌事項

タイトル別名
  • ―脛骨後方傾斜角度ならびに脛骨冠状傾斜角度の性差の検討―

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>膝前十字靭帯損傷の解剖学的危険因子の一つに脛骨高原の形状がある。脛骨高原の形状評価には,矢状面で観察可能な脛骨後方傾斜角度(PTS角度)と前額面で観察可能な脛骨冠状傾斜角度(CTS角度)の2つが用いられる。これら脛骨傾斜角度の計測は,X線画像やCT画像,MRI画像などの画像診断装置を用いて行われている。我々は,MRI画像を用いたPTS角度計測の有用性を報告したが,CTS角度については未報告である。またPTS角度およびCTS角度の性差に関する報告は非常に少ない。本研究の目的は健常者における膝関節MRI画像を用いたPTS角度およびCTS角度計測の信頼性を検討すること,ならびにその性差を検討することである。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>健常大学生7名14膝を対象(男性3名6膝;21.3±0.6歳,女性4名8膝;19.8±0.5歳),MRI画像診断装置(HITACHI,AIRIS Vento,0.3T)を用いて,膝関節MRI画像を撮像した。撮像条件はTR:4000,TE:95.0,Thickness:3.0mm,撮像肢位は仰臥位,膝関節伸展位にて実施した。画像処理ソフトImage J(National Institute of Health)にMRI画像データを取り込み,Hashemiらの方法を参考に,PTS角度(内側PTS角度;MPTS角度,外側PTS角度;LPTS角度),CTS角度を算出した。なお計測は1名の検査者が数日の間隔を空けてそれぞれ3回計測した。</p><p></p><p>また,検者内信頼性を検討するために,MPTS角度,LPTS角度,CTS角度の3つの角度の級内相関係数(Intraclass Correlation Coefficient:ICC)をそれぞれ算出した。また,3つの脛骨傾斜角度の平均値を男女別に算出し,対応のないt検定またはWelchの検定により男女間で比較した。有意水準は5%とした。統計解析にはSPSS Statistics ver.22.0(IBM社)を用いた。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>MPTS角度,LPTS角度,CTS角度の計測時の検者内信頼性を示す級内相関係数はそれぞれ0.86,0.89,0.83であった。</p><p></p><p>MPTS角度,LPTS角度,CTS角度の平均はそれぞれ10.8±2.3°(男性10.1±3.0°,女性11.3±1.6°),10.0±2.3°(男性8.8±2.5°,女性10.8±1.7°),2.6±1.9°(男性3.4±1.8°,女性2.0±1.8°)であった。</p><p></p><p>性別間の平均角度の比較では,MPTS角度(p=0.347),LPTS角度(p=0.083),CTS角度(p=0.159)の3つの脛骨傾斜角度すべてにおいて有意差を認めなかった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>脛骨傾斜角度計測のICCは0.81以上であり,MRI画像を用いた脛骨傾斜角度計測の検者内信頼性は高いことが分かった。</p><p></p><p>脛骨傾斜角度の男女間の比較では,すべての角度おいて有意差を認めなかった。性差については未だに見解が異なるものの,本研究では性差があるとするJiangらの報告を支持する結果となった。</p><p></p><p>今後は動作の特徴と解剖学的特徴を関連させた分析を行う必要がある。</p>

収録刊行物

詳細情報

  • CRID
    1390282680556277120
  • NII論文ID
    130005609235
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.1245
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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