Walking Behavior and Neighborhood Environment: A Case Study in Tokyo Metropolitan Area

DOI
  • HOU HAO
    Graduate School of Life and Environmental Sciences, University of Tsukuba

Bibliographic Information

Other Title
  • 居住者の歩行行動と近隣環境に関する研究-東京大都市圏を事例に-

Abstract

東京大都市圏を対象に,パーソントリップ・データを用いて歩行行動の時間的,空間的特徴を明らかにするとともに,その時空間的パターンを生み出した要因を移動者の属性および居住地周辺の近隣環境(ウオーカビリティ)に焦点をあてながら,GIS解析により究明した. 分析に利用したデータは,東京大都市圏パーソントリップ調査(2008年)をもとに,東京大学空間情報科学研究センターが住民の一日の行動に着目し, 1分おきに移動者の位置を緯度経度でデータベース化したものである.調査対象は東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県,そして茨城県南部を含む東京大都市圏である.57万6千人の移動者の性別・年齢・職業・交通手段・移動目的などが記録されている. 多様な移動手段が存在するなかで,徒歩による移動は全体の26.41%とかなりの割合を占め, 33.77%の電車に次ぐ割合である.歩行を誘発する要因として,居住地周辺の施設分布や交通状況が重要であり,本研究ではこれらを近隣環境として定量的に指標化して影響度を分析した.居住密度(1km以内の住宅世帯数),交差点密度,土地利用多様性,バス停密度,鉄道駅への近接性,観光施設への近接性,緑地度,公園密度の8つの指標を取り上げ,居住地から半径1km以内を対象にGIS解析により,居住地毎に近隣環境を導出した.なお本分析では,目的が明確で移動が定期的である歩行(Utilitarian Walking:UW)と余暇・娯楽・散策など移動が不定期である歩行(Recreational Walking:RW)では,歩行行動が本質的に異なるので,それらの違いに注目した. 移動者全員を対象として一人あたりの平均歩行時間を算出し,その空間分布を探ったところ,東京大都市圏全体では,都心部を中心に距離逓減の同心円パターンがみられ,平均歩行時間は10km圏では,40.31分,20km圏では38.91,30km圏では50-60km圏では35.71分,70-80km圏では34.56分であった.都心部に居住する人ほど,徒歩で移動することがみいだされた.また,横浜,千葉,大宮,立川などの郊外核では,周辺地域と比べて居住者の歩行時間が長いことがわかった.UWとRWでは明確な差違があり,UWでは都心から郊外に向かって歩行時間が減少するのに対し,RWでは歩行時間が上昇する.UWの場合には,東京都心部から郊外に延びる鉄道路線の存在が歩行時間に影響し,鉄道路線沿いの地域では歩行時間が延びる傾向がみられる.一方,RWの場合には鉄道路線の影響はほとんどみられないことが明らかになった. 実証分析を通して,歩行を誘発する因子として居住地周辺の近隣環境が重要であることが解明された.すなわち,ウオーカビリティが高い地域ほど実際の歩行時間も長くなることがGIS解析を通じて見いだされた.さらに,両者の関係は都市空間構造に規定され,大都市圏の中心部では,ウオーカビリティ,歩行時間とも相対的に高く,周辺部では,ウオーカビリティ,歩行時間とも相対的に低いことが明らかになった.  

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205695619072
  • NII Article ID
    130005635691
  • DOI
    10.14866/ajg.2017s.0_100239
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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