特異な臨床症状・画像所見を伴った若年性GM2ガングリオシドーシスの15歳男子例

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  • Clinical characteristics of early juvenile GM2 gangliosidosis: a case report

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抄録

<p> 小児期GM2ガングリオシドーシスには3~5カ月頃から精神運動発達の遅延, 退行が始まる乳児型の他に, 2~10歳に発症する若年型の病型がある. 今回経験した若年型症例では, 運動退行が前面に立ち知的退行は遅れて出現し, 知的機能は後期まで残存する点が本病型の既報に合致していた. 一方, 音過敏を伴う自閉症状の一過性の出現や水痘感染を契機とした退行の急激な増悪が本例では特徴的だった. 臨床経過として運動機能面では3歳頃から歩行時の転倒が出現し, 9歳時には立位困難となった. 言語面では6歳頃から語彙減少がみられ, 10歳時には喃語も消失した. また6歳頃から強直発作・ミオクロニー発作からなる難治性てんかんを呈している. なお, 若年型では頭部MRIで小脳萎縮が先行し大脳萎縮は後から出現することが多いが, 本症例では5歳頃から大脳萎縮が始まり, 基底核・小脳の順に萎縮が進んだ. 本例で認めた運動退行が知的退行に先行する点, 知的機能は後期まで残存する点は若年型GM2ガングリオシドーシスを積極的に疑う特徴として周知されるべきであり, 一方で自閉症状やミオクローヌス, 脳萎縮の経過は若年型の臨床像のバリエーションとして周知されるべきである.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 49 (3), 203-206, 2017

    一般社団法人 日本小児神経学会

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