甲状腺機能亢進症に併発した脳静脈洞血栓症の1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of cerebral venous sinus thrombosis secondary to hyperthyroidism

この論文をさがす

抄録

症例は43 歳男性.頭痛,けいれん発作を認め救急搬送された.神経学的所見では,混迷と左片麻痺を認めた.頭部CT で,右頭頂葉の低吸収域と上矢状静脈洞後方部の高吸収を認めた.CT静脈撮影で,上矢状静脈洞の閉塞を認め,脳静脈洞閉塞症と診断した.Basedow 病の既往があり,甲状腺機能の精査と血栓性素因の検索を行った.甲状腺刺激ホルモン受容体抗体は9.6 IU/l で,甲状腺刺激性抗体は400%と陽性を示した.血栓性素因では,vW因子活性高値(>200%)と凝固活性第8因子176.5%が高値を示した.Basedow 病による凝固亢進状態から脳静脈洞閉塞症を発症したと考えた.脳静脈洞閉塞症の原因疾患として甲状腺機能亢進症も鑑別し,甲状腺機能亢進症と診断される際には,vW因子活性と凝固活性第8 因子の検査結果の推移に注目することが,脳静脈洞閉塞症の治療方針および予後予測に役立つと考える.

収録刊行物

  • 脳卒中

    脳卒中 39 (4), 273-276, 2017

    一般社団法人 日本脳卒中学会

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ