造血幹細胞移植後呼吸器ウィルス感染症

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タイトル別名
  • Respiratory viral infections occurring after hematopoietic stem cell transplantation
  • ゾウケツ カンサイボウ イショク ゴ コキュウキ ウィルス カンセンショウ

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抄録

<p>呼吸器ウィルス感染症は,造血幹細胞移植後1年以内の発症率が約60%であり,重要な移植後合併症である。移植後患者においては,上気道感染症から下気道感染症へ15~20%が進行し,下気道感染症を起こした場合の致死率は約40%と高い。移植後早期,好中球,リンパ球数の低値,年齢,ステロイド使用が下気道感染症への危険因子となる。RSVウィルスに対する吸入あるいは経口リバビリンやインフルエンザウィルスに対するノイラミニダーゼ阻害薬の投与は下気道感染症への進行および,下気道感染症による死亡に対して有効である。一方で,大量免疫グロブリンの投与が有効であるという明確なデータはない。呼吸器ウィルス感染症と診断された場合にはステロイド投与を可能な限り1 mg/kg/day以下に減量することが望まれる。今後,日本においてもmultiplex PCRによる呼吸器ウィルス検査が一般化し,呼吸器ウィルスに対する知見が高まると共に,新規治療薬の導入が望まれる。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 58 (7), 818-826, 2017

    一般社団法人 日本血液学会

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