結腸との瘻孔を生じた膵粘液性囊胞腫瘍の1例

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  • Mucinous Cystic Neoplasm with a Fistula into the Transverse Colon

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抄録

<p> 症例は35歳の女性で,発熱,腹痛,下痢が出現したため近医受診し血液検査所見にて炎症反応の著明な上昇を認めた.CT・MRIで左横隔膜下に内部ガス像を伴う約10 cm大の囊胞性病変を指摘され,横隔膜下膿瘍と診断された.経皮的ドレナージが施行されたが内容物は粘液であり,細胞診でClass IIIaと診断されたため精査加療目的に当科へ紹介された.臨床経過および画像所見から膵粘液性囊胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm;以下,MCNと略記)の感染と診断し手術加療を施行した.術中所見では囊胞壁と結腸の間に強い癒着を認め脾合併膵体尾部切除,横行結腸合併切除を施行した.切除標本では囊胞壁と腸管に瘻孔を形成しており,病理組織学的には上皮下間質に卵巣様間質を認めMCNと診断された.MCNは破裂や穿孔の報告はまれであり,腸管との瘻孔形成の報告は認めなかった.自験例では囊胞の増大による圧迫が原因で結腸と瘻孔を生じ,感染から急性腹症を生じた極めてまれな症例と考えられたので報告する.</p>

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